榎田 尤利さんの 【普通の男】【普通の恋】
他所で"いまいちかな?"みたいな感想も読んだような気がするのですが、
自分で読んでみて、「ぜんぜんっ、そんなことないわっ、なかなかよかったじゃないっ」と
わたしは感じた作品です。
出版業界のそれこそ平凡なリーマン同士が、初対面ではなかなかいい感じで
出会ったものの、おなじ会社に勤めることになり営業(花島)と編集(的場)という立場で
一緒に仕事をするようになると、互いにそりがあわないというか、なんというか、
仕事ではしょっちゅう衝突することになり、しっくりこないふたりが・・・・。
花島も的場も元々は、女性愛好家だったはず。
けれど、仕事絡み職場絡みアフターファイブ絡みと、何度かの絡みの末に?
気がつけば、お互いの存在に捉われてしまっていた・・みたいな?
「こんなのはおかしい・・。」と互いに自分をどうにかして立て直そうとするふたり。
この一連の流れなんですが、気負いも無理もなく、自然にふたりの
距離が近づいていた、みたいな感じで読んでいてとてもふたりの気持ちが
しっくりきましたね。
それこそ、Boy's Love定番メニューみたいな激しいものは[普通の男]の中での
ふたりの間にはなく、ひたすら、ふたりの気持ちを追ってゆく展開になっています。
奇抜な舞台設定や行為はないけれど、退屈だとかではなく、逆ににふたりの
心の振り子の振り幅が丁寧に描かれていて、あきずに一気に読了できました。
【普通の恋】
気持ちが通じるようになり・・・お互いにブレーキかけられないくらい
ものすごぉ~く相手のことが好きなんだけれど、同性との恋愛がとにかく
初めてなもので戸惑うことも多々あったりで。
世界がふたりだけで成り立っていればよいのだけれど、そういうわけにも
いかず、仕事絡みや相手の対人関係やらで、勘違いで嫉妬したり、絶望したり・・
なぜか好きという気持ちだけで、安泰なふたりの世界はなかなか成り立たず、
あっちへゴンっ ♪ こっちへゴンっ ♪ "箪笥にゴンっ^^;"
でもお金もなくてちっともかっこよくもない男を好きでいることを止められない
っ、ちょっとかわいいというか美形でそっちのほうでモテ系の受けキャラと
"普通"という言葉がしっくりくるのが判る攻めキャラにのリーマン同士の不器用な恋が
たんまりと描かれています。
あとね、彼等を取り巻く周りにも、minorityゆえに一苦労している人々がいて、
そういうキャラたちのこともきっちり丁寧に描かれていて作品をしっかりと堪能できました。
「普通で充分だから・・・」
だから、恋をしてみたい・・・と思わせてくれる作品でしたね。
★~☆
Click、よろしくお願いします。★~'☆