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★2◎◎◎年の恋★ その20
(Real 話から創作)


旭亡き後のふたりの行方。



----- 亜佳里+瑛 -----


旭との突然の別れの後、少し心情的に落ち着いた頃、
瑛が会いに来た。





 「戻ってきてはくれないだろうか。」





・・・

瑛からこの15年間ずっと私の事が恋しくてたまらなかった
と聞かされた。未由からも瑛がずっと再婚もせず誰とも
付き合わずにいたことをそれとなく聞いていたから
あかりはもう一度自分の気持ちと向き合う為に同居することに
した。


同居を始めはしたけれど、初っ端からあかりは容赦なく
15年以上前に云えなかった自分の本当の思いを瑛に
ぶつけた。


続きはMoreからどうぞ。













あかりは冷たく云い放つ。


『あなたは私の事が好きだ大切だと云うけれど、それは
違うと思うの。錯覚しているのよ。それかそう思い込もうと
しているだけ。あなたとの結婚生活を思い出すたびにこの
15年間ずっと考え続けてきたわ。

私は本当にあなたの事が好きですきで、あなたの為ならと
ご両親のお世話も、休日になると飲みに出掛けるあなたの
送迎も家の事も子供のことも、仕事をしながら全力で
こなしたわ。

ほんとに多忙な毎日で息つく暇もなくって、自分の時間
なんてなかった。


それでも私はあなたを信頼し好きだったから苦に
ならなかったし、不満なんてなかった。私は大好きな人に
愛されて何て幸せな人生なんだろうってさえ思ってた。

だけど本当は私なんてあなたの大切なものじゃなかった
のよ。私の事を好きだとか大切だとか、みーーーんな
まやかしだったの。

今ならよく判るのよ、よく見えるの、あなたと私の
関係が。

ちっとも大切になんかされてなかったって事がね。

あなたはちょっと気に入った子(私)をくどき落し
「好きだよ、愛してるぅ~~っ」ていう言葉で私に魔法を
かけて、外では風通し良く独身のように振る舞い、家では
至れり尽くせりの・・自分にとって楽な暮らしをして
いただけ。


家政婦だった・・とまでは云わないけれど、態のいい
なんとやらだったのかなって今は思ってる。』



元夫はじっと息を潜めて私の放つ辛らつな言葉の数々に
聞き入っていた。


そして私の肩を抱きながら「ごめん・・ゴメン・・」と
呟いた。






「僕も君の居なくなったこの家でいろいろな事を
考えさせられた。

君や未由のいないガランとした色彩を無くした部屋で。

いつも飲みに行く時、君はどこにも行かずそして忙しい
のにも拘わらず心よく笑顔で送り出してくれて、
油っ濃いものはやめてねって体調の事をよく気にかけて
くれていたな、とか。


飲んだ後の迎えも嫌な顔ひとつせず、いつも来てくれた
な、とか。

僕はいつも君に大切にされてきたって事に気付いた。

すごく自分を大切にしてくれた人をさんざん傷つけた後に
気付くなんてね、 ホント最低。

君の云う通りだ・・ホントにごめん!
これからはほんとに大切にする。ほんとに。」





今さらだよ。
そんな殊勝な台詞に騙されたりなんかしない。
心の中で思わず私はそう叫んでいた。


私は元夫の心からの謝罪を遮り、

「今はここにいるけれど、ずっとこのままかは分からない。
出て行きたくなればその時は出て行くから。」

と瑛に宣言した。


瑛の息を呑む気配がしたけれど私は続けて云った。

微妙な力加減だけれど私の肩を抱いている瑛の腕に
力が入ったのが判る。


「私、旭くんと暮らしていた頃でさえ、フラッシュバック
陥った事があるから。

そうなるともう駄目なの。コントロールできない。気分が
ブルーになって地の底まで気持ちが落ちちゃって、なかなか
浮上できなくなるの。

忘れたくても、記憶を消したくてもできないのよ。」


と更に続けて私は云った。








旭くんは、私の癒しだった。旭くんとの生活でどんなに
私が思い違い(前の結婚生活)をしていたかも判った。


旭くんは仕事の合間を縫ってただの気分転換だからって
起きたら朝食の用意をしてくれたり、気が付くと買い物して
きてくれたり浴室の掃除をしてくれていたり、事あるごとに
しみじみと思ったものだ。


前の結婚とこうも違うのかと。

私はいつも旭くんに大切にされている事を感じながら
暮らしていた。

彼は一人で飲みに行くことも他の誰かと遊びに行くことも
なかった。素敵な場所があれば一緒に行った。

彼の中心は私だった。

映画もデートもよく行ったよね。振り返ってみれば、私は
お姫様のように扱ってもらっていた気がする。

先の結婚と比べてもしようがないけれど、私と旭くんの
関係はまるで元夫と私の立ち位置が入れ替わったものだと
気付いた時、愕然とした。



元夫は私が大事、私が大切と云っていたが本当にそれは
真実だったのだろうかと。私は態のいい妻と云う名の
ただの家政婦のようなものだったのではないか。

全ては自らが望み、瑛に尽くしてしたのだから口に出す
事は憚られるが、裏切りを受けた後ではそう思わずには
いられなかった。



そんなやこんなや、うつらうつら考えていたら瑛から
ある提案がなされた。








by lee-lena | 2015-11-08 13:48 | 心の灯火 | Comments(0)
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