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★2◎◎◎年の恋★ その18
(Real 話から創作)




-----亜佳里と旭の軌跡-----Episode4------
   


結婚後10年め、(たっ、たいへんなことに!)10年目の△▲。


それはもうすぐそこまで春の気配が届きそうな頃のこと。
職場で昼食を食べていた時に届いた一通のメール。



「奥さん、澁澤君と別れてください。私と澁澤君は真剣に
交際しています。年上で子持ちの奥さんに澁澤君は
似合いません。彼を自由にしてあげて。お願いします。」



そのメールを読んだ瞬間、遠い日の封印したはずの忘れられない日々を
思い出していた。 [旭よ、おまえもかっ・・・。]の心境だった。



だけど、疑う前に本人に確かめなくては、そう思った。



午後の仕事を何とかこなし、大急ぎで帰路に着いた
私の目の前には一生懸命にイラストと対峙している
旭くんの背中があった。



私の気配に気付いた旭くんが振り返りいつもの笑顔
で迎えてくれた。


続きはMoreからどうぞ















私が黙ったまま佇んでいたら・・・

「どーしたの? なにかあった?」と聞いてくれた。



私は胸の内を抑えて普通の声音で尋ねた。



『これ、今日・・こんなメールが届いたんだけど。
 誰だか判る?』




私が見せたスマホを覗き込む旭くんの一連の様子を
どんな小さな事も見逃さないという思いで見ていた私。



「あっ、知ってる。 ・・この・・メル・アド
知ってる。」と旭くんは云った。

それを聞いていた私はその場に立っているのがやっとで何も
言葉を発する事が出来なかった。この次の言葉は? どんな
言葉を出せばいいの?次に何を云えばいいのか、なかなか
見つからない言葉を探していたら・・・・



「あかりさん、このメールを送って来た人に心当たりはある
けど、こんな事を云ってくることには全く心当たりが
ないから。」



「あかりさんは何も心配しなくていいよ。僕が好きなのは
あかりさんだけだから。僕は遊びで他所の女の人と付き
合えるほど器用でもないし、時間もない。 
独身の時も結婚してからも、その場凌ぎで女の人に
コナをかけた事もない。」


「今ある大切な家族と別れなきゃならないような愚かな事
絶対僕がするはずないから。
明日、あかりさんにもちゃんと納得してもらえるように
するから、心配しないで・・・?」


旭くんは一気に私を安心させる為の言葉をくれた。

それでも一度元夫からの裏切りを経験している私ですもの
20%位はもしかしたら、という気持ちを払拭する事は
出来なかった。

次の日、私は午前中休みを取り旭くんに連れられて
旭くんの本を出版してくれている会社の近くにある
喫茶店に入った。



打ち合わせ通り旭くんとは別れて入り、少し離れた席に
座った。すると一人の女性が旭くんに親しげに話しかけ
てきました。




旭くんは注文もせず、いきなり本題に入った。

「僕の奥さんに変なメールしたよね? どーいうこと?」



《あれっ、澁澤君、もう知ってるの? 奥さんに
疑われちゃった? ちょっとしたジョークだよっ。ドンマイ・・
澁澤君たちの信頼関係がどれくらいかテストした
っていう感じ?

奥さん家出しちゃったとか?

ふふっ、大丈夫だよ。そうなったらさ、私が澁澤君の
奥さんになったげるから。 》



最初は面白がっている様子の彼女でしたが最後の方は
声が強張ったトーンになっていくのが判った。



「山口、こんなのジョークで済まないよ。人の家庭に
波風立てて、何がそんなに面白いんだ。こんなメール
受け取って僕や妻がどんな気持ちになったか想像できない
なんて。僕はそんな人とは友達付き合い出来ない。

今後一切、連絡しないで! 
僕の方も二度とこの店にも来ないから。」




《待って!! そんなに邪険にしていいの?》
 そう云う彼女の声音が怖いトーンに変わりました。 

奥さんに云ってやる。 澁澤くんに弄ばれたって。
澁澤くんから誘って来たのに奥さんにばらされたもの
だから私捨てようとしているって。


奥さん、どっちの云い分を信じると思う?》




私は近くの席で二人の会話を聞きながら旭くんとの
打ち合わせ通り、やりとりを録音した。


一緒について来て良かった、と心から思った。


私はこの現場にいなかったらきっと100%旭くんのことを
信じる事が出来なかったと思うから。


二人は高校の時の同級生なのだとか。

私は録音しながらOrderしたコーヒーを飲み干した。

旭くんが無言で席を立つと彼女が待ってと引き止めた。



《違うの、ちがうの。本当はそんな事がしたかった訳
じゃないよ。旭くんの事が好きで振り向いてほしかった
だけ。

そしたら、奥さん邪魔だモン。 20代で再会した時から
旭くんの事、好きだった。でもその時、旭くん好きな人が
いるって聞いてあきらめた。

でも又この街で再会してやっぱり好きだなって思って
今度は絶対あきらめたくなくって、できる限りあがこうって
思ったの。

ね、成人した娘を持つ年上の奥さんがどーしていいの?
お願い、私の事、真剣に考えてみてほしい、お願い。 》




「妻も娘も義両親も皆僕の大切な宝物なんだよ。他の誰とも
どんな物とも比べられない。僕の大切な人達を傷つける者は
許さない。」




今まで私が見た事もないような冷淡な云い方でシュパッと
彼女を一刀両断し、旭くんは店を出て行った。

少しして、私もそっとその店を後にした。
旭くんが外で待っててくれた。


ふたりでしばらく手を繋ぎ無言で歩いた。



はっきりと好きだ、大切な宝物と云われ、再度何度目かの
幸せを噛み締めたのは結婚から10年目の事でした。


旭くんに付いて行って良かった。言葉だけで否定されても
トラウマを抱えていることもあって、きっと私は心のどこか
で旭くんの事を疑い続けていたと思う。


人を信じる事は、特に異性間においては、恋情が絡むので
難しい。 こんなにはっきりと、私への気持ちを表明して
くれて本当にうれしかった。 

これからも一点の曇りもなく信じていけることが、そして
ずっとずっと旭くんを好きでいてもいいことが私を幸せな
気持ちにさせてくれる。

旭くん、大好きだよ。ありがとうね。



未由にも私のように旭くんのような素敵な伴侶が
         見つかりますように!!


by lee-lena | 2015-10-31 19:01 | 心の灯火 | Comments(0)
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