(Real 話から創作)
-----亜佳里と旭の軌跡-----Episode1------
結婚後1年め、それは寒い2月の事でした。
その週は寒波が襲い、とても寒い日が続いた。
朝起きた時にチラッと喉に痛みが走りましたがあまり気に
留めませんでした。
普段から風邪などひいても少し頭が痛いなぁ~程度で、
夜早めに寝れば翌日にはケロっとしているほうで健康には
自信があったから。
けれどその日は違っていた。午後4時をまわった頃からいつもと
違うなと感じ、院内の薬剤師に頼んで抗生剤と風邪対応の薬剤を
出してもらい、早めに帰らせて貰うことにしました。
帰るコールは毎日決めてしているわけではなく、気が向いたら
しているというスタンスです。
この日はいつもより早く帰宅するし体調も良くないので
「体調悪くて早めに帰ります。」と旭くんにメールを入れました。
すぐに返信がありました。
『大丈夫? 駅には何時頃に着きそう?』
「今からだと5時頃には着けると思います。」
ちょうどプラットフォームに上がった所で帰りの電車が入ってきたので
少し早めの4:50分に自宅からの最寄り駅に着いた。
ほんとに寒い、頭がズキンズキンしてきちゃったなぁ~。早く帰って
横になりたい・・そんな事を考えながらエスカレーターで降りて
改札口に向かうと、そこには迎えに来てくれた旭くんの姿がありました。
「えっ・・旭くんだ・・うそっ!」
「迎えに来てくれたの? えっ・・うそっ、うそっ!!!」
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思えば・・元夫と結婚生活を営んでいた頃、会社帰り同僚と、休日には友人と
飲んで帰ってくる夫をその度に仕事と家事、義両親の介護等々の合間に
何度となく迎えに行ったことはあれど、自分が元夫から迎えに来てもらえる
ような機会は一度もありませんでした。
改札口を出ると待っていた旭くんがさっと私の鞄を持ち、タクシー乗り場
まで私の手を引いてくれました。
『えーーっ、旭くん勿体ないよぉ~、わたし歩けるし・・。』と
呟いている私をタクシーの中へ押し込み、後から旭くんも。
「病気の時位いいから、いいから。ほんとは車でかっこよく迎えに来た
かったけど、残念ながら僕は運転できないからね。」
『旭くんも仕事で忙しいのにありがと。』
身体は辛かったけれど旭くんの
やさしさに包まれてとても幸せでした。
忘れられない2月になりました。