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男と女のお話-5



夫のカノジョ / 垣谷 美雨 (著) を読んで Another Storyを考えてみました。

*・:+oOo+.:☆-★☆-★・*.oOo。+☆-★☆-★.:・。*・:+・



男と女のお話-5


妻 真理子47才   娘 淳子 22才  道本 絹代 27才

夫  友成 50才   妻の恋人 42才 



*・:+.。oOo+.:・*.夫 友成  50才。+.:・。*・:+.。oOo+.:・*


たった今、妻が閉めたドアの音がした。
妻がこの家のドアを再び開ける日は来ない。

私に三行半を突きつけて出て行ったからだ。
まだこの現実に付いて行けない自分がいる。

昨日まで、ほんの昨日まで私たちは仲睦まじい夫婦として暮らしていたのだ。
すぐにこの現実を受け入れられるはずもない。


だが妻が二度と自分の元へ帰って来ない事は紛れもない事実。
受け止めるしかないのだろう、そんなふうに考えながらも受け入れがたい
自分がいる。

思い起こせばあの時に選んだ自分の選択がこんな結果を招いたのだ。
めんどくさがらず、妻にちゃんと説明をしていれば・・・と過去の自分の行動を
悔やんでも今さらだ。

それでも例えば妻が私の行動に気付かなければ同じ選択であっても
問題はきっと起きなかっただろうと思う。 そんな風にどーしてこんな結末に
なったのか、どうやればこの結末を防げたのか、次から次へと想いが交錯した。

ひとり娘の就職も決まり昨日が大学の卒業式で、夫婦揃って参加した。

娘は今日から友人たちと卒業旅行に出掛けている。そして日曜日の今日
妻から話があると云われ先ほどまで妻からの話を聞いていた。


妻: 淳子が大学卒業して就職も決まり・・・ここまで来るのほんとに長かった。

夫: そうか! だが今度は淳子の結婚があるからね。子供との付き合いは
   まだまだ続くよ、結婚の支度なんてのもあるし、もうひと踏ん張り
   頑張らないとね。


妻: 友さん、私この家を出ます。 離婚届、置いて行きますからそちらのほうで
   出して置いてください。淳子もちゃんと大学まで終えることができましたので
  慰謝料は請求しませんからご安心を!!

*・:+.。oOo+.:・*.oOo。+.:

と、妻が切り出してきました。寝耳に水・・・私には何がなにやらさっぱり
判りませんでした。あまりの申し渡しに私があっけにとられていると・・・・・。

                   *・:+.。oOo+.:・*.oOo。+.:・。*・:+.。o

続きは下にある More 続きをクリックしてみてくださいね。
 









続き・・・・・・・・・・・・・・・


妻: 友さん、どーしちゃったの? 
  私から離婚の話を切り出したら喜ぶかと思ってたのに、そんなに
 びっくりした 顔して。もう隠さなくったっていいのに。 若くてきれいな子と
 一緒になれるんだからうれしいでしょう?

 妻からギャーギャー追い詰められることもなく、こんなにあっさり離婚に
 応じてくれるできた奥さんなかなかいないわよっ。

*・:+.。oOo+.:・*.oOo。+.:・

と、妻が云いました。 私はますます頭がこんがらがるばかりで言葉が
出ませんでした。

                *・:+.。oOo+.:・*.oOo。+.:・。*・:+.

夫: な・・に・・? よく判らないが君の話からすると私に・・別にその、、若い女性
  がいるってこと? それで私がその女性と結婚したがってるってこと?



妻: 何で今更そんなとぼけた事を私に確認するの? 慰謝料だって請求しない
  って云ってるんだからもう隠さなくっていいよ。
 

夫: 何を勘違いしているのか知らんが私は君を裏切るような事は結婚してから
   一度もないと心から誓える。 どーしてそんな勘違いをしているのか知らない
  が、、、離婚を考えるなんて早計だ。

  落ち着いて・・・誤解があるようだからちゃんと話してほしい。君の勘違いの元
  を聞こうじゃないか。

*・:+.。oOo+.:・

妻は今更なぜ?と云った風な風情で、それでも話してくれました。

                  *・:+.。oOo+.:・*.oOo。+.:・。*・:+.。oO


妻:7年前だったわ、淳子が高校受験の年、偶然あなたの浮気相手のブログ
  を見つけたの。あなたの履歴からよ。別に疑って履歴を調べたってことでは
  なくてたまたまね。 浮気相手じゃないかって思ったのは女のブログに
  あなたの 名前を見つけたから。

 「友、今夜は私の誕生日一緒にいてくれてうれしかった・・・プレゼントも
 うれしかった、大切にするね。」とか


 「今頃奥さんやお子さんたちは実家に帰省中。一緒に行かず私の家に来て
  くれてうれしかったよぉぉ。」とか。


 後、会社の業務関係の記述なんかも書いてあってあなたの彼女だって
 確信したわ。
 


仕事で忙しいからっていうあなたの身体の事を気遣ってお盆は私と子供たち
とで帰省したのに女のところに行ってたなんて。 私がどれだけショックだったか。

どう身に覚えがないって、知らないって云えるの!!




夫:あーーーー、えーーーーーと それはーーーー話せば判るよ。
  ちゃんと説明する、説明させてくれ。



妻: その頃あなたが土曜日なのに休日出勤するって云った日があって、
   それが浮気発覚直後だったこともあって私は今まで一度も休んだことの  
   ないパートを休んであなたの後をつけた。



夫:(冷や汗:) あぁ そんなことを・・・・。



妻: どうか会社のある駅で降りて・・・って、それでもその時は本気で祈ってた。
   でもあなたは別の駅で降り、いつも通っている足取りで駅から女のマンション
  まで行った。 そして部屋に入っていったわ。



  どう? 思い出したかしら? それとも7年も前の事だし、女の家にはしょっちゅう
  行ってたからどの日のことか判らない?


夫: イヤ・・・だから・・・ちゃんと説明するから・・・・聞いてほしい。



妻: 私が打ちひしがれてトボトボ来た道を帰ろうとしたら後ろからあなたたち二人の
   楽しそうな話声が聞こえたの。とっさに私、目の前にあった車の陰に隠れた。

  私は若くてすらりと伸びた長い脚を持つ女を見て打ちのめされた。 
  今の私にないものを彼女は持っているってね。

  若さ、瑞々しい肌と肢体を充分に想像させるナイスプロポーション。


・ 私は敗北感に打ちのめされたわ。おまえみたいなオバサンなんてとっくに
  女としての商品価値なんてないってね。(小説より引用)


 私をこんなに惨めにさせているあなたが心底憎く、恨めしかった。




夫: なに・・・云ってるん・・・だ。  私は若い子と君をそんな風に比べた事
   など一度もないよ。
   それにそれほど疑ってたなら、どーして私に問い詰めなかった?



妻: 判らない?   浮気するような人間にはわかんないわよね。 私だって
   問い詰めたかった、責めたかった。 こんなに尊敬もし信頼していたあなたから
   裏切られたんだから。そりゃそーでしょ。でもね、子供抱えて家を出て2人
   生活していける経済力のないアラフォー女にはあなたの肯定するかもしれない
   回答が怖くて云えなかったのよ。だって7年前の私には離婚して生きていくという
   選択肢ができなったんだもの。問い詰めるってそういうことでしょ?

  最悪、離婚も覚悟しないといけないってことなのよ。相手の答え次第でね。
  こういう恐怖は仕事を持って経済力のあるあなたには判って貰えないかもしれな
  いけど。


  旦那の不倫で別れた友達から云われたわ。
  



 ・ 離婚してもいいのはキャリアウーマンかお金持ちの実家を持っているか、
   物分かりのいい旦那で慰謝料、養育費を親子が余裕で暮らしていける
   ほど充分出してくれる場合だけ。

 だから大抵の専業主婦は愛を無くしても生活の為に仮面夫婦でも婚姻関係
 を続けるしかないの、耐えるしかないのよ、ってね。


  友達は自分から離婚云いだして別れたけれどそれを今すごく後悔してる
   って云ってた。とても生活が苦しいみたいでね。 とにかくギャァーギャァー 
 騒ぎ立てて離婚々と、突きつけるのは得策じゃないって事は理解できた。


 だからね、その女に会いに行ったのよ。
 あなたに会うのを止めてくれるよう、頼みにね・・・行ったのよ。



夫: それって道本のところなのか?


妻: そっ、道本さん。



夫: そんなこと、今のいままで道本から聞いてない。
   聞いてたら君に誤解だって事をちゃんと話してた。


妻: 彼女にね、夫があなたの家へ来ないように云って頂戴って
   お願いしたの。そしたらね、


 「わたしがお願いしてる訳でもないのに課長の方が勝手に来るんですから
 奥さんが直接課長に云ってください。」って一点張りでね。 私のお願いは
 あっさり却下されてしまって・・・・途方に暮れたわ。 本当に途方に暮れた。

あなたたちの絆が思ってた以上に深かったんだと思い知らされたわ。


夫: 真理子、さっきから云ってるが先ず君の誤解だ。 判ってる、一番
   悪いのは誤解されるような行動をとった自分ってことをね。彼女は
   生い立ちが複雑でね。あの頃準社員で入社してきててね、うちへ
   来るまで職を転々としていて、夜の仕事なんかもしてきてたみたいで
   苦労してたんだ。うちは正社員の登用門があるからその手助けを
   してやりたかったんだよ。それで週に1~2回彼女の家へ行って会社の
  業務の事やら社員登用への試験のことやら教えてたんだよ。



彼女に会いに行ったという話だがどーしてその時彼女がそのことを君に
話さなかったのかが全くもって謎だが、元来ガサツな子でちょっと変わった
ところのある子だから、私の浮気相手と疑われていることに気付かなかった
のかもしれない。だって年を考えたら私は道本の父親でもおかしくない年だし
、彼女はそういう対象で見られているとはつゆほども思ってなかったとおもうから。


今からでも道本にちゃんと聞いてもらえば誤解は解けるはずだから。一緒に
道本に会ってほしい。 連絡取るよ。 向こうの都合がよければ夕方からでも
どこかで落ち合って話合おう。

私は君との離婚なんて一度も考えた事ないから、今本当に吃驚している。
心臓に悪いね、まったく。

誓って浮気なんてしてないから。ずっと君一筋。




妻: 今更何云ってるの? ならどーして道本さんの事そのときに云って
   くれなかったの? 

  今頃そんな事云われても・・・信じられる訳ないでしょ。
  じゃぁ、あなた私が職場の若い男性の家へ裁縫教える為だからって
  週2回その人の部屋に入って行くのを見て浮気じゃないって思えるの?
  許せるの? 何 もないって信じられるの?

  答えて!!! 



夫: 思・・・えないな。 ほんとに・・・・。 私が悪い、申し訳なかった。
   最初から説明するべきだった。
   よけいな勘ぐりをされるのが面倒で話す労力を怠った私が悪いんだ。

  ほんとに、ごめん。 今更だが、そのことは心より謝るから、以後自分の
  行動には気をつけるから、許してほしい。


妻: あなた、今更何全うな事云ってるの? あなたの云ってることが本当でも
   嘘でも、もうそんな事どっちでもいいことなの、今の私にはね。



*・:+.。oOo+.:・*.o夫 友成   :+.。oOo+.:・*.oOo。+.:・*

妻は今までの私が聞いた事もないような苦しげな物言いで話はじめました。


*・:+.。oOo+.:・*.oOo。+.:・。*・:+.。oOo+.:・*.oOo。+.:・*


妻: 私、ほんとにあなたをずっと信頼してた。そんなあなたが浮気をしたと知って 
   目の前が真っ暗になった。私の妻としてのプライドもズタズタにされて
   女としての自信も奪われてとてもみじめだった。

   第一の目標を決めた-----娘をなんとしても一人前にすること。
   第二の目標を決めた-----手に職をつけて将来の不安を少なくすること。
   第三の目標を決めた----大好きなあなたのことを無理やりにでも嫌いになること。


全てクリアした時、三行半を叩きつけること。


   そんな私の目標の中にオプションがついた。
   正社員で働くようになって私の事を好いてくれる男性が現れた。

   陰になり日向になり、今までずっとサポートしてくれたの。離婚が成立したら
   結婚しようと云ってくれた。 結婚は一度でコリゴリとプロポーズを断ったら
   今持っている全財産1500万円ほど入ってる通帳の名義を私にするから
   信じてほしいって再プロポーズされたの。

   私はその男性と結婚することになってるわ。 あなたの浮気が本当は違って
たからってなに? 何度も他の男に抱かれた妻とこの先仲良く結婚生活
   続けていけるっていうの?


   *・:+.。oOo+.:・*.夫  友成 :+.。oOo+.:・*.oOo。+.:・*


私はよもやこんな宣言を叩き付けられるとは思いもしませんでした。
妻は円満な家庭生活を演じながら他に恋人がいたというのです。

そういわれてみれば7年前のちょうど妻が私の浮気を疑った頃からです。
思い当たることがありました。夫婦の営みが極端に減りました。

今まで拒まれた事などなかったのに体調不良を理由に拒まれるように
なったことで、私も遠慮するようになってしまったのでした。

体調不良を信じて疑いませんでした。


浮気をされた奥さんが生理的に旦那を受け入れられなくなり、
セックスレスになってしまう話はどこかで読んだことがあります。

妻は気持ち悪くて吐きそうな気持ちを抑えて離婚回避の為に
私との夫婦生活を続けてきたということでしょうか。

考えてみると自分の失態とは云え、絶望的な気持ちになります。
しかし、妻は悪くないのです。 疑われるようなことをし続けてしまった
私が悪いのです。


こんな結末が待っていたのなら、私は道本の勉強の手助けなどするべきでは
なかったのでしょう。手助けするにしてもなにか別の方法を考えてするべき
だったのです。

私はここにきて、コトの大変さにようやく気付きました。自分で当時の
自分をぶん殴ってやりたくなりました。

他の男に抱かれた妻とこの先仲良くやっていくなんてできるのか?
すぐには答えを出せません。

私が黙っていると・・・・・

そのまま妻は無言で出て行きました。

自らの無神経な行いで人助けをしたにも関わらず私は大切な
家族を失ってしまうのです。


露ほども自分の心のうちを私に気付かせることなく今日の日を迎えた妻。
妻もきっと苦しんだことでしょう。


今ならまだ間に合うんじゃないのか、
この先も自分と一緒にいてほしいと頼めば・・・・・。

イヤ、駄目だ。さっき妻は云ってたじゃないか。

「第三の目標-----あなたの事を嫌いになっていくようにした。今私が愛情を
持っているのは恋人にだけ。もうあなたには1ミリの情も残してはいないの、」と。


冷たい眼をして云い放ったではないか。


いつか、娘には誤解だったことを話しておきたいと思う。

これまで通り明日に向けて繋げていけると信じていたこの部屋で
わたしはただなすすべもなくひとり佇むばかりだった。

   Fin


by lee-lena | 2015-03-17 18:06 | 心の灯火 | Comments(0)
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