8話
---- 海 -----
そんな僕に絢に僕の存在を知らせた絢と僕の共通の友人である
渡部佳代子が近づいて来た。
僕は訊いた。
「と゜ういうこと? 何も聞いてない・・・・。」
『うんっ、だって誰も海に教えてないから。』
『皆に絢から海には知らせてくれるなと緘口令が敷かれてたもん。』
あのね、絢わねあんたと付き合ってる間、高校、大学、職場と・・・
結構モテてたんだよ。絢はそういうこと軽々しく人に云わない子だから
知らなかったんでしょうけれど。
あんたよりずーーっとずーーっとかっこいい人やお金持ってる人や
そりゃあいろいろ素敵な男性(ひと)からのアプローチがあったんでしょーよ。
あんたとのことを大切にしていたから一度の浮気もせず海一筋で
きてたみたいね。 なのにあんたときたら今はまだ遊びたいからって
絢からの提案無視して、まったく。
結婚に対する将来の展望さえ話し合おうとしなかったそうね。
絢ね、云ってた。
心底あんたにガッカリしたってさ。
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せめていついつ頃までには結婚しようと思ってるとか、そんな言葉も云って
くれず私は海の一体何だったのかな?って 泣いてたよ。
絢ね、ちょうどその半年前位に今のご主人の石橋さんに結婚を前提とした
お付き合いを申し込まれてて。
泣いた時にそのこと思い出したんだって。
石橋さんに魅力を感じなかったから断った訳ではなく海という
将来を共にすると決めていた彼氏がいたから断っただけで個人的な
付き合いは無かったけれど今の会社に入社して3年一緒に働いてきた
先輩だし充分未来の伴侶として考えるにふさわしい人物で石橋さんの
顔が浮かんだらあんたへの執着が一気に吹き飛んじゃったらしいわ。
まっ その時が海あんたが絢にスパッと捨てられた瞬間だったんだよ。
ご愁傷様。
続く・・・・